sanpo@Spain

さくせん ▶︎いのちをだいじに

Night5 旅は道連れ、世は情け

瞑想ガイズに連れられて、近くのペンションへ。15ユーロで、バスルーム共有。バスルーム占有のプランもあったが、他にお客さんもいないだろうし、という瞑想ガイズの言葉に、それもそうだ、と安く仕上げた。

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まだ、チェックインには早いと、バーコーナーで待たされている間、瞑想ガイズと身の上話。なんと、瞑想ガイズは兄弟だった。ガイズ改め、瞑想ブラザーズ。アメリカのコロラドの大学に通っていて、兄はこの秋に卒業、弟は5月に卒業予定だそうだ。そんなに若いとは。。。また、弟は来週から学校が始まるとのことで、明日で一度カミーノを切り上げてアメリカに戻るとのこと。ふと、、、寂しいなぁ、という気持ちが生まれた。

 

チェックイン後、部屋に案内される。個室のツインルーム。テレビを見るの、久しぶりだ。なんだかとても贅沢に感じる。。。が、窓の外では煙突から煙がモクモク。

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すきま風ならぬ、すきま煙でほんのりとスモーキーなにおいのする部屋だ。これ幸いと、汗がしみた服を乾かす。汗くさいより、スモーキーな方がまだましだ。しかも悪くないにおいの煙だ。

何を燃しているのかと、煙突のふもとをふと見ると、どうやら何かのお肉を燻製にしている模様。食文化だなぁ。。。

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瞑想ブラザーズから、ここはキッチンが使えないから、と今夜は一緒に食事をすることになった。共通の話題は巡礼、ということで日本のお遍路についての話になる。もう10年以上前の話だけれども、こういう時に説明できるのは嬉しい。他には日本の雪、富士山、東京の物価、マンガ喫茶少子高齢化天皇制など、思ったよりも多岐に渡る突っ込んだ質問が続く。拙い英語だけれど、ニコニコしながら聞いてくれたこともあって、楽しく食事をすることができた。そう言えば、311以降に日本の価値観が変わった、という小説の話をされたのだけれど、タイトルが思い出せないとのことで、いったい何の本のことなんだろう。。。

 

弟は明日6時半のバスで帰り、兄は歩き続ける。明日も同じ目的地をお互い目指すことになるだろう。また会えるといいな。

Day5 孤独の意味を知る

冬のCaminoは孤独である、ということがネガティブポイントとして書かれている。むしろ孤独の方がいい、マイペースに行けるし、コミュニケーションも面倒にならない、出発前はそんな風に思っていた。

 

しかしながら今日、まだ寝ている瞑想ガイズより先にアルベルゲを後にして、山を越えながらふと、孤独は寂しいものだな、と感じた。

 

昨日の迷子のこともあって、道無き登山道を歩いている途中で、弱気になってしまった。なるほど、孤独が辛いとはこういうことなのか。

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少ししんみりとしながら歩みを進める。今日は道を間違えないように、慎重に歩く。山を越えると800メートルの降下だ。

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この後、写真で見えてる川まで降りる。

 

実はこの川、水力発電所になっていて、ダムの放水地点の上を歩くことができる。かなり怖いので、へっぴり腰。

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今日は朝の歩き始めから、20キロ先の街まで何もない。お昼の頃、燃料が切れてくる。街に着いてから食事、とはいうものの、おやつで燃料補給。この板チョコおいしい、けど堅い。

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14時、目的地のGrandas de Salimeに到着。開いているバルでお昼を頼む。スープはないがシチューはあるとのことで、頼むとジャガイモとひよこ豆と豚肉のシチュー。毎日似たようなものを食べているが、どれもおいしい。

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今日の試練はここから。実は状況は、かなり悪い。つまり、今夜泊まる宿が見つからない。バルに居座り電話をかけまくるが、この街のアルベルゲは冬季で休み中。5キロ先のアルベルゲは改装工事中。ホテルは電話に出ない。ガイドに載っているペンションは英語が話せず、全くどうしていいか分からない。

 

泊まる場所が見つからない、という再びの無力感の中、藁にもすがる思いでルイスに電話する。すると、出た瞬間に「ニーハオマー」。やっぱり、ルイスは最高だ。悩みを相談すると、昨日の瞑想ガイズもそろそろ着くと思うけど、ペンションがあるはず。もし言葉の問題があったら、僕がそこまで行くよ、とまで言ってくれた。ナイスガイすぎる。。。

 

そしてその後、バルの窓から瞑想ガイズが見えた瞬間、腕が振り切れるほど、手を振った。店を出て、助けて欲しい旨を伝えると、笑顔で快諾。なんということだ。孤独じゃなくて本当に良かった。1人だったらどうなっていたか。。。

 

寂しいとか、そういうことではなく、文字通り、1人では何もできないことを痛感させられた一日となった。

 

Night4 相部屋デビュー

遭難寸前で、這々の体で今日の目的地、Berducedoに到着。ここのアルベルゲは評判が芳しくないが、、、やむなし。というか、今夜はベッドの上で寝られるだけでありがたいと思え。

 

牧場の端っこの、まだ若干牛のにおいも残る場所に宿はある。おや、ドアが開いてある、入ってみると、そこには人懐こそうな顔をした白人男性が、裸で毛布にくるまっている。おっと失礼。

、、、どうやら着ていた服を脱ぎ、友だちがシャワーを終えるのを待っていた模様。こんな形で今夜は初の同居人デビューとなった。
この2人、地元スペインの方。英語が話せるので助かる。シャワーから出てきたお友だちは、パタゴニアのダウンに、ノースフェイスの室内ばきと、普通というか、むしろセレブ感のある格好。毛布じゃなくて良かった。

 

宿の管理人(ルイス、いい人!何かあったら24h電話ok!とのこと)も現れ、昨今の面白Camino話とか、宿の閉鎖事情なんかも教えてもらい、ひとしきり盛り上がる。あと、
ルイスは四国遍路のことも知っていた。スペイン人、興味津々。88ヶ寺が何の宗教か聞かれ、仏教だと答えると、少し残念そうだった。

 

それでは夕飯を、となり、スペイン人男性たちは自炊するとのこと。何でもベジタリアンで、店で困るそうだ。なるほど。

 

自分は1人で近くのレストランへ。お任せで頼むと、まさかの昨日と同じ鍋! 結構好きだったから嬉しい。でも今日は控えめに取っておこう。。。

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そして、やはり出てきた2皿目! 何の肉かと思ったら鱈のトマトソース。肉じゃないことが嬉しい! でも、、、一個でいいや。

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すると、おかみさん、一個だけ?と少し不満そう。え、全部食べるのが正しいの?? まだよく分からない。。。

 

満腹になり、宿に帰ると、部屋が暗い。。。そうっと開けると、さっき身体に巻いてきた毛布を床に敷き、2人で静かに瞑想している! そうっと扉を閉めて、居間で終わるのを待つ。扉を開ける度にサプライズがある。

 

2人とも少し不思議だけど、いい人で良かった。たぶん、明日も同じ宿になる。

 

そろそろ疲れたので寝るかな、、、と布団に入ると、なんか匂う。さっき身体に巻いていた毛布から部室臭が漂ってくる。。。

 

日本から持参した、秘密兵器のアロマで、自分の寝袋をいい匂いにして、寝るとしよう。。。まさか役に立つとは、、、。とにかく今日は長い1日だった。

Day4 p.m. 危機一髪

ご機嫌な足取りで下山。周りを見る余裕すらある。

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さすが1000メートル超えの標高。眼下に見える川が低くて、少し怖いくらい。

 

川と言えば、今いるアストゥリアス州は湧き水も多く、売っている地元の水がおいしい。軟水なのか、ガス入りもガス無しも、すいすいと飲めてしまう。

 

そんなことを思いながら歩いていると、ドラクエ的な風景に遭遇。

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この壁がなんともドラクエ的だ。小さく見える犬がその後まとわりついてきて、可愛いような、、少し怖いような。

 

その後、山道を下る道に入るのだが、そこからとんでもないことになった。つまり、迷子になった。

 

最初は順調だった。ご機嫌なまま、軽い足取りで歩き続ける。足元の栗の落ち葉が多くなり、少し歩きにくい、というか、道が道で無くなっていくような感覚。。。

 

気がつくと随分と道が細くなっている。

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しかしここまで一本道。間違えるはずはない。。。

 

やや不安を感じながらも前に進むと、道は完全になくなり、野バラに足を取られ転んで滑り、目の前の風景から、道が完全に消えた。。。

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この時、実はかなりやばいんじゃないか、と気付く。汗が止まらない。とりあえず落ちつこう、と携帯を取り出す。ネットワークが通じなくてもGPSで居場所が分かる素晴らしいアプリを入れていたので、居場所の確認。。。すると、今いる場所は、道ではない。

 

そして、このまま前に進んでも、道には出ない。

 

絶望感に襲われながら、何とか来た道を戻るしかない、と滑り落ちたところは這いつくばり、木の枝にしがみつきながら、ひたすら40分登る!

 

するとようやく、ドラクエ的な風景のところまで帰ってきた。良かった、、、と思ったのもつかぬ間、犬の飼い主のおじさんに怒られた。

 

何を言っているかはあんまり分からないものの、どうやらこの人の私有地に入ってしまったらしい。あっち行け、と言われた方を見ると、見慣れた貝殻の標識。。。こんなところにあったのか。。。謝りながらCaminoの道を進もうとすると、もう遅いから山道じゃなくて、国道を歩け、と道を示される。確かに、、、むしろ嬉しい。

 

あっちだよー!と怒鳴られながらも、国道に出て歩けていることに感謝を感じずにはいられない。しかも太陽は消え、また濃霧。迷子の時は何とか晴れていた。この霧の中で帰還するのはしんどかっただろうな。。。

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ご機嫌なはずの下山は、とんでもない結末で。調子に乗ってたんじゃないか、油断していたんじゃないかと、自戒の念に襲われる。油断大敵。

 

本当に、助かって良かった。反省。安否確認ブログが、本当に安否確認になる寸前、、、これからまた慎重に行動しようと誓った午後でした。

Day4 a.m. 判断

今日の日は長くなるのでa.m.とp.m.に分けます。

 

早く出た答えは良い答え、と以前会社の先輩が言っていて、なるほどなーと思っていた。一方で、他人の声は大体正しい、というのも案外信じている。

何かと言うと、今日は今回の旅で一番の難所と言われる山越えがある。ただ、同じ頂上を目指すにも2つのルートがあり、どちらにするか悩んでいた。Aのルートは、2キロ短くなり、緩やかに400メートル登って頂上を目指す。Bのルートは長い分、一度高度を下げて、1つ街を経由して、最後に600メートル一気に上がる。

ただし、霧や風の強い日はAのルートは危ないので避けるべし、とも書いてある。

うーん。これはどうしたものか。と、ここで冒頭の話を思い出した。自分ではAがいいかな、と思いつつも決められない。話を調べるとBにせよ、と言う。。。

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分かれ道の印。どちらにするべきか。。。

 

結局Bにした。

 

やはり、いのちだいじに、が作戦なので、無理はしないことが大事、と判断。天気も霧だし、一人は不安だ。

 

Bに決めた瞬間、空が晴れてきた。Aでもいけた? それともBにした判断を称えてくれているのか。。。後者だと思いたい。

 

Bのルートには街を経由できるメリットがある。山の中に突然現れる街。絵になる。

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相変わらず少し早い時間でランチはなく、カフェでサンドイッチを出してもらった。巨大。。。苦手なチーズも不思議と食べられた。

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 一口かじっちゃいました。おいしかったけど、口の上が少し切れました。

 

エネルギーチャージも終わり、いざ山登り!

ヒーヒー言いながらも2時間登り続け、ようやく峠が見えてきた! 振り返るとそこにはうっすらと虹が!

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やっぱりこのルートにして良かったなぁ。下りになる道の手前でしみじみ休憩。気分は最高だ。

 

 

続く

Night3 お腹いっぱい

昔、どうしてもちゃんこ鍋が食べたくて、広尾の玉海力に一人で行って、2人前出してもらったことがある。あれはお腹いっぱいになったなぁ。。。

 

と、今夜はそんなことを思い出した。明日のために食事はちゃんと食べよう、と宿に併設されたレストランで食事。自慢の料理は、豚肉とポテト、葉っぱ(キャベツみたいな味)を煮込んだスープ。鍋で出てきた。

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取り分けられることもなく、好きなだけどうぞ、、ということか。この一皿で終わりなのかも、と思い、かなり底に近くなった。すると、おかみさんから、パエリアもあるよ、と。。。

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おいしかったのですが、さすがに1/3しか食べられず。ただ、それでもおかみさんは意に介さない様子で、今思えば、調理器具などの都合で一人前は作りにくいのかも。。。我ながら、世間知らずで恥ずかしい。。。

 

さらにデザートも!

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クリーム多過ぎ!

ちなみに巡礼者用メニューとして用意してもらいました。どれも温かく、、、満腹です。

 

ちなみに今日の宿。貸切状態なので快適。おかみさんがきれい好きで、床もピカピカです。土足厳禁。

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 明日は、歩くために朝食も依頼。9時からと言われ、遅いよ、と言ったら、外が暗いんだから仕方ない、との返答。確かにそうなんだけど、、、結局8時半にしてもらいました。

 

おやすみなさい!

Day3 霧の中を散歩

予報通り今日から雨。残念ながらこればかりは仕方ない。

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部屋から見えるSalasの街並み。これまた8時半頃。やっぱり暗い。

 

優雅にオレンジを2つ食べて、雨具を着込んでいざ出発。今日は朝から山越え。一気に標高差500メートルを上がっていく。雨しぶきは心地いいが、着込んだフリースが登山には暑過ぎる! 雨で涼しいはずなのに、あまりに暑くて脱ぐことに。上着を脱ぐと体から湯気が出ている。スーパーサイヤ人

 

雨は小さな粒の雨が風にあおられて、横殴りでやってくる。フリースを脱ぐと、それはそれで寒い。標高800メートル。外気は冷え込んでいる。

 

朝の山登りを終えて、あまりの寒さにメガネが曇る。雨に濡れたこともあって、視界は不調極まりない。これはやむなし、ととうとうメガネを外して歩くことに。何年振りだろう。でも、この方がまだまし。

 

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 ピンボケみたいになっているのは、雨対策で携帯をジップロックに入れて使っていたから。 天才!

 

メガネを外すと、当然周りがぼんやりしてくる。生命線の、道しるべとなる黄色い矢印を探すのに注意しないといけない。集中力を持って歩く。。。

 

この3日で気付いたことがある。それは、食事は摂れる内に食べるべし、ということ。店はほとんどない。そして、歩くにはカロリーが必要。しっかりと食べないと、全く体がもたない。そんな当たり前のことに気付かされた。とにかく、お腹が空いて、もう歩きたくない。。。

 

そんな折、奇跡的に一軒のレストランが! ずぶ濡れで気が引けながらも背に腹は変えられない。12時半は過ぎているものの、ランチには早いとのことで、カウンターに並んだピンチョス(サンドイッチ)をいただくことに。

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おいしかったなー。特に、スパニッシュオムレツが挟んである方が最高だった。炭水化物万歳!

 

食べ物を補給したことで足取りは軽くなる。今日2回目の山越え。今度は300メートル登るだけなので、朝よりは楽。ただ、霧が濃い。先が見えない。メガネを外しているせいで足元も怪しい。

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この霧の中、前から傘を差してやってきた長身スペイン男性。少し立ち話をしたけれど、この山の中、彼はどこからやってきたのだろう。。。

 

雨の中、無事に目的地Campielloに到着。阿蘇高原みたいなところです。晴れてたら相当気持ちいいんだろうな。。。残念ながら、明日もまた雨。。。